グリップ・スワニー?
白鳥に混じってしまった鷺。


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どうしてもどうしても欲しいものができた。

その名はグリップ・スワニー。
アメリカ生まれの究極の手袋なのだそうだ。
この夏は、こいつでバイクに乗るんだ。

手にしっくりとなじむという立体裁断、頑丈なケブラー糸での縫製、雨に濡れてカチカチになっても、揉みほぐせば柔らかな状態にすぐ戻ってくれるタフさ、さらには”皮革が破れる前に縫い糸が切れた場合は無料修理させていただきます”との広告ときたもんだ。商品に対するなんたる自信。愛好者によるインプレを読んでみると十年使ってもまだまだ使えるそうで、また、ヘタってしまってもまた同じものを買ってしまったという。

欲しい!欲しい!欲しい!のだ。

こうして私は近所のアウトドアショップに行ってみた。が、案外無いみたいで、じゃ次、じゃ次、と気がつけば八件も探しまわっっていた。神戸から大阪まで、関西中を探しまわった。途中何度も類似品を見つけ、妥協したい気持ちに駆られながらも半ば意地になって買わずに探し続けた。

インターネット通販という手もあるのだが、やはり身につけるものだから身につけてみてから購入したい。

昨日は梅田(大阪)まで見に行ってきた。九件目の店は私にとっては切り札のような店だ。ここで無きゃあ関西中探してもありまへんで的切り札ショップ。

私の知る限り最も大規模なアウトドア用品店だったのだが、やはり無かった。絶望という字が見えかかった瞬間、店員が「向かいのビルにも同じような店がある」と教えてくれた。

初めて入ったその店は、思ったより広く、グーな感じのリュックやら登山靴やらキャンプ用品でにぎわっていた。十回目の大台に乗ってしまった「革手袋はどこにありますか」の質問に答えて導かれた手袋ブース。

・・・え。まさか。ほんまに?
探していたクセに、いつの間にやら諦めが板に付いていた。一瞬目を疑ってしまったが、やっと、やっと、やっとSWANYの文字を見つけたのだ。しかもネットで見つけたどの相場より安かった。

驚喜しながら三つしかないSサイズを何十分も吟味し、やっと手にしたスワニーちゃん。会計を済ませ、ウキウキで店からバイク置き場まで着けて歩いて帰った。

その日、大阪は30℃を超す猛暑だった。その上私は24時間近く睡眠を取っていない。クソ重いエンジニアブーツは囚人の足かせ並みの重さで中は蒸れに蒸れまくっていた。しかしそんな苦労もスワニーちゃんで吹っ飛んだ。全てが報われていたのだった。

達成感一杯で家に帰り、シャワーを浴びたら鼻血がでた。「オレ頑張ったー。」と名誉の鼻血にまみれながら、スワニーちゃんを愛撫し、パソコンの電源ボタンを押す。にしてもSWANYでこんな型番の手袋見たこと無いんだよなあ、検索。あれ、無いじゃん、変なの。

買ってすぐ外したタグ。捨ててしまえば夢は覚めずに済んだだろう。しかし残っていたので見てしまった。

いかにもSWANYらしい革手袋のイラストを持ったタグの裏。そこには小さく「株式会社スワ○ー ○○県白鳥町」と書いてあった。あれ?アメリカに○○県なんてあったっけ?

・・・なるほどね。
白鳥町だからスワニーなのね。。。

その時、全ての苦労は泡と消えた。
くそぉ、スワニーーって、スワニーーーって、スワニーーーってよお。
私には白鳥というよりも鷺にしか見えない、そんな会社の手袋でした。

あんなに嬉しかったのに、モノ自体は何も変わっていないのに、私の愛は失せてしまった。なんて現金な自分。もう指のぶっとい感じなんか、きな粉パンにしか見えない。

どっと疲れてもう寝ました。
明日からまた出直します。




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